
口腔扁平苔癬
当科では口腔扁平苔癬の診断、治療、経過観察に積極的に取り組んでいます。口腔扁平苔癬と口腔カンジダ症(憎悪因子の一つとされている)との関連を明らかにする取り組みを行っています。
定義
口腔扁平苔癬(Oral Lichen Planus: 以下OLP)は、口腔粘膜の白色レース状、わずかに隆起、時に丘疹状を示す原因不明の慢性炎症性病変であり、丘疹型、網状型、斑状型、萎縮型、びらん(潰瘍)型および水疱型に細分類されます。病変は、しばしば両側性・対称性に生じ、頬粘膜、歯肉、舌に好発します。臨床的なOLPの診断(clinical?OLP: 以下cOLP)は、これらの肉眼的所見に基づき診断されています。診断
OLPの確定診断には、臨床的および病理組織学的所見が一致することが必要とされていますが、その一致率は低いです。病理検査
一方、病理組織学的な扁平苔癬(pathological?OLP: 以下pOLP)の診断は、表層の過角化症、上皮突起の鋸歯状化、上皮基底層直下のリンパ球の帯状浸潤と、それに伴う基底細胞層の液化変性や上皮層下部あるいは上皮下結合組織上部のCivatte?bodyの出現が特徴的な所見とされています。原因
OLPの原因として、機械的刺激、薬物や化学物質、ウイルスや細菌の感染、金属アレルギーなどが提唱されてきましたが、確定的なものは現在のところありません。治療
治療は一般的にはステロイド軟膏が用いられるが、難治性であり再発も多いです。近年、OLP病変部のカンジダ菌の合併、抗真菌薬の効果について少数の報告があります。前癌状態
前癌状態とされ、経過中に約1%程度、悪性化します。症例集(北大口腔内科)
網状型両側性の頬粘膜に発現することが多いです。典型例は網目状の線条模様を呈します。

環状型

びらん・潰瘍型
