北海道大学歯学部口腔診断内科
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口腔診断内科

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炎症

炎症

炎症歯科における炎症性疾患の原因には種々ありますが、そのなかでもっとも多くみられるのが微生物による感染症です。

口腔の感染症は、口腔常在菌によって生ずる、いわゆる内因感染と、口腔には常在しない微生物によって生ずる外因感染とにわけられます。

口腔常在菌による、いわゆるKochの4原則が適用されない感染症としては、齲蝕あるいは歯髄炎に継発する根尖性歯周炎や歯周病などのように、歯が介在する歯性感染症がもっとも多くみられます。 歯性感染症における化膿巣には種々の口腔常在薗が混在しており、いわゆる混合感染です。これらの菌のどれが起炎菌か、またどの菌がどの程度の病原性を発揮しているかを明らかにすることは困難で、このことは歯牲感染症を治療していくうえにおいてもっとも苦慮する問題点です。

また歯性感染症では、伝染牲、潜伏期などはなく、歯が関連する慢性病巣は、生体の抵抗力が低下するとしばしば急性化を繰り返し、徐々にではあるが病変は推移し、原因歯の根本的処置が行われない限り治療することはないのが特徴的です。口腔常在菌による感染症の発症の機序については、いまだ明らかではありませんが、生体の抵抗力の低下により、病原菌と生体の抵抗力との均衡状態が破れると発症します。このため、口腔常在菌による感染症は、生体の抵抗力を修飾する因子によって大きく影響を受けます。

また、口腔の状態が変化すると、口腔細菌叢の変動がみられるので、局所的因子についても十分に留意しなければなりません。口腔常在菌による感染症のなかには、放線菌症、カンジダ症などの真菌感染症がみられますが、その発症頻度は比較的少なく、一方で腔には常在しない結核菌、梅毒スピロヘータなどの伝染性のある病原菌によって生ずる感染症、いわゆる外因性感染症は少なく、直接的に口腔に原因を有するケースは極めて稀です。