北海道大学歯学部口腔診断内科
北海道大学歯学部
口腔診断内科

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漢方治療

漢方治療

当科では、従来の西洋薬が奏功しない症例、副作用や高齢のため使用できない場合は漢方薬の投与を行っています。また西洋薬の補助として、東西医学のハイブリッド治療を行っております。

口腔と漢方薬

急速な高齢化社会の到来、科学・医療の進歩、患者さんの心理的社会的背景の複雑化に伴って「口が乾く」、「舌がヒリヒリする」、「味がわからない」、「口の中が苦い」、「口の中が荒れている」、「口内炎が治らない」などを主訴に受診する患者さんが増加しています。当科(口腔診断内科学講座)では上記を主訴とする口腔乾燥症、舌痛症、味覚障害、口腔カンジダ症、口腔粘膜疾患、口腔学顔面痛などの「口腔内科的疾患」を系統学的に診査診断し、薬物療法を積極的に取り入れることで効果を挙げており、医療機関を転々としてきた「さまよえる患者」さんに救いの手を差し伸べることができるようになりました。従来の薬物療法(西洋薬)が奏功しない症例、副作用や高齢のため薬物療法を使用できない症例、また薬物療法の補助として漢方薬の投与を行っており東西医学のハイブリッド治療を行っております。

複合的な効果が期待できる漢方薬

最も割合が多い口腔内科的疾患である舌痛症の当科での漢方治療について紹介します。舌痛症はその呼び名通り「舌がヒリヒリ」と痛む症状や「舌が焼ける」ような強い痛みを訴えが大半を占め、50歳以降の女性に多く見られます。舌の痛みの原因となる口内炎、口腔乾燥、口腔カンジダ症、舌癌、不適合義歯などの痛みの鑑別を行い、要因が見つかなければ舌痛症と診断します。当科では舌痛症に第一選択薬である薬物療法が不十分な場合や薬物療法の補助として表面麻酔効果および鎮痛効果がある漢方薬(立効散)を用いて効果を上げています。立効散は5つの生薬から構成され、表面麻酔効果・鎮痛作用・抗炎症作用を併せもつ漢方薬です。表面麻酔効果に期待して、できるだけ口腔内に留めた後に鎮痛・抗炎症作用に期待し内服・もしくは含漱のみを行います。我々の統計では、従来の薬物療法が奏功しない症例に対して投与したところ5割以上の改善率を認めました。また、最近では薬物療法の支持療法として立効散を併用することにより高い効果を上げています。

漢方のすすめ

自分だけの特異な症状と悩まずに、できるだけ早期に専門の医療機関を受診し検査を受けられることをお勧めします。様々な科を受診されても「異常ないから心配ない」、「気のせいです」としか言われなかった症状が適切な診査・診断・治療をすることにより改善する可能性があります。

主な疾患、使用

舌痛症
口腔乾燥症
三叉神経痛
オトガイ神経麻痺
口内炎
放射線化学療法による口内炎
口腔異常感
帯状疱疹後神経痛
非定型歯痛
非定型顔面痛
味覚障害

主な使用漢方薬の例

舌痛症 (立効散、加味逍遥散)など
口腔乾燥症 麦門冬湯、白虎加人参湯など
三叉神経痛 桂枝加朮附湯など
オトガイ神経麻痺 桂枝加朮附湯など
口内炎 半夏瀉心湯など
放射線性口内炎 半夏瀉心湯、(立効散)など
味覚障害、食欲不振 六君子湯など


立効散