北海道大学歯学部口腔診断内科
北海道大学歯学部
口腔診断内科

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放射線性顎骨壊死(ORN)

北海道大学病院口腔内科における放射線性顎骨骨髄炎の治療戦略

【概要】
頭頚部がんに対する晩発性後遺障害である放射線性顎骨壊死(ORN)は、口腔内外の骨露出、持続的排膿を主な症状とする難治性疾患である。発症要因は、放射線照射部位の抜歯後治癒不全や歯性感染症などがあげられる。北海道大学病院口腔内科ではORNに対し、積極的な加療を行っている。

【症例と方法、倫理委員会】
対象はORNに対し加療を行った34例(2006年~2020年)で、男性28例、女性6例、年齢の中央値は64歳であった。照射後から発症までの期間は63か月であった。当科では3Dシュミレーションソフトウエアを用いて切除範囲を決定し、区域切除に伴って切除した下歯槽神経に対して吸収性神経再生誘導材を用いた下歯槽神経再建も行っており合わせて報告紹介する。本研究は北海道大学病院自主臨床委員会の承認の下に行った (No. 020-0109)。

■新しい試み
・3Dシュミレーションソフトウエアを用いて切除範囲の決定/骨切りガイド
・切除した下歯槽神経に対して吸収性神経再生誘導材を用いた下歯槽神経再建
・3Dシュミレーションソフトウエアを用いて下顎骨再建

【結果】
全体の改善率は47%(16/34)であった。保存療法+外科療法を行った症例は21例で改善率は57%、保存療法単独症例は13例で改善率は15%であった。

【結論】
ORNに対する治療は、保存療法単独よりも外科療法を併用した治療法の治癒率が高かった。
本人の許可の下に掲載
進行例(皮膚瘻形成)