アクセス

お問合せ

MENU

Content of medical treatment

診療内容

-診療内容02

顎骨良性腫瘍

良性腫瘍は、腫瘍を構成する細胞が自律的に増えることで大きくなります。悪性腫瘍とは違い、組織を越えて浸潤することや、他の臓器へ転移することはめったにありませんが、取り残すと再発します。良性腫瘍は顎骨にできるものと、歯肉や頬粘膜などの軟組織にできるものに分けられます。顎骨にできる良性腫瘍は自覚症状に乏しいため、気が付いた時には大きくなっていることがあります。当科では、再発性の良性腫瘍をいかに侵襲なく、口腔の機能の温存を目指し、腫瘍を完全除去し、骨の再生を促すかを考えて治療にあたっています。当科で開発した反復処置法は50年間継続している治療法です。
以下に、口腔領域で多くみられる上皮性の良性腫瘍における「反復処置法」ついて述べます。
エナメル上皮腫:主に顎骨にできる良性腫瘍で、下顎骨に多く見られます。気がつかない内に、骨の中で大きくなり、顎骨の大部分に及んでしまうことがあります。また、周囲の骨に侵入しながら大きくなるため、レントゲンやCTで確認できる範囲以上に存在することがあります。そのため、単純な摘出術では30-80%も再発するとされています。再発を防ぐため、健康な骨を含めて切除する治療法が一般的とされてきました。この場合、周囲の骨ごと切除するため、健康な歯や感覚神経を併せて切除しなければならず、体への負担が大きいだけではなく、歯の喪失や骨の連続性が失われることで、機能や審美性が術前の状態と大きく変わってしまいます。また、骨の連続性がなくなれば、咬むことができなくなるため、足の骨や肩の骨を移植する必要があります。この大掛かりな治療法でも再発率は0%とはならず、30%程度とする報告もあります。
私たちの教室では、この大掛かりな手術や口腔の機能を低下させる治療を避けることはできないかと試行錯誤し、反復処置法という治療法を開発しました。
反復処置法は開窓術、摘出術、反復処置の3つの外科処置からなる治療法であり、長期の経過観察が重要な治療方法です。腫瘍によって失われた骨の再生を促進し、腫瘍の完全除去を目的とします。手術の回数は多くなりますが、口腔の機能の温存に努めます。再発率は16%程度であり、単純な摘出術と比べかなり低くなっています。
反復処置法は以下の治療方法を組み合わせ、長期の経過観察が重要です。
·開窓術
·摘出術または分割除去術
·反復処置
·経過観察
開窓後または摘出術後の反復処置は、腫瘍がなくなるまで、また吸収された骨が回復するまで約3か月に一度の治療が必要になります。また、反復処置法は顎骨の嚢胞にも適用しています。
 最後に、エナメル上皮腫は再発しやすい病気であるため、長期(教科書的には一生)の経過観察が必要になります。また、最近では、腫瘍のタイプならびに歯の状態に応じて腫瘍に含まれる歯の温存にも積極的に取り組んでいます。

手術

01.口腔がん02.顎骨良性腫瘍03.顎変形症04.口蓋裂05.摂食嚥下リハビリテーション