HOME > 教育内容 > 大学院教育

大学院教育

歯科矯正学教室においては、臨床歯科医学としての歯科矯正学を担当しており、大学院学生に対する基本的な教育方針として以下のように考えています。

(1)歯科矯正学の分野において、問題発見、探求、解決能力および発表能力を有した優れた研究者、将来の指導者となり得る人材を養成すること。

(2)同時に、高度の専門知識、技術を有する歯科矯正学の臨床医を養成すること。

(3)更に、臨床歯科医としての見識を身につけ、歯科医学全体の広い視野をもち、他の診療科との協力体制の中で矯正臨床の技量を発揮できる人材を養成すること。

研究内容

歯科矯正学教室においては、歯科矯正治療における診査・診断・治療法の開発等に関して、臨床的・基礎的に広く研究を行っています。以下に主な研究テーマを示しますが、各大学院生とは研究テーマの選択の際に十分に相談すると同時に、自分で発見した問題、またそれを探求する姿勢を重要視しています。下記の項目にとらわれず、色々なことに対して自由に探究心を発揮してもらいたいと思います。

(1)機械的刺激による組織改造現象の機構解明に関する研究:

矯正力の他、口腔周囲筋・軟組織などが発生する機械的刺激がもたらす組織改造現象の機構、およびその加齢変化に関しての研究を行っています。また、培養細胞に機械的刺激を与えることによる生化学的研究、微少血管の研究、さらには、糖尿病ラットを用いた組織学的な研究、など広範なテーマで、歯科薬理学教室、口腔機能解剖学教室、硬組織発生生物学教室などとも共同研究を展開しています。

(2)顎口腔機能に関する研究:

舌、口唇、頬は、発音、咀嚼、嚥下などの顎口腔機能に重要な役割を果たしています。口唇閉鎖状態連続記録装置等を用いて、口唇閉鎖機能に着目した顎口腔機能の診断、治療、また筋機能療法(MFT)に関する基礎的、臨床的研究を行っています。また、顎関節症に代表される顎機能異常に関して、不正咬合、矯正治療との関連性に関する研究を進めています。

(3)矯正用歯科材料の開発:

繊維強化プラスチック型複合材料を用いた審美性にも優れた高性能の矯正用ワイヤーの開発の他、新しい概念の矯正用ブラケットや矯正用ワイヤー、接着材料の開発などを行っています。

(4)顎変形症に関する研究:

顎顔面骨格の成長発育異常に生じる顎変形症の原因(特に遺伝的原因)の解明と外科矯正の診断、治療法に関する基礎的ならびに臨床的研究を行っています。自然発症不正咬合マウスを用いて、不正咬合の発生機序に関する研究も展開しています。

(5)口蓋裂に関する研究:

口蓋裂患者の治療法に関する臨床的研究、またラットを用いた口蓋瘢痕組織に関する基礎的研究などがあります。

臨床教育

日本を代表する歯科矯正学の学会(日本矯正歯科学会)では現在、「認定医」「指導医」「専門医」の資格を与える制度を設けています。その制度では大学における専門的な臨床教育カリキュラムを履修することを必要な条件としており、その他、論文や臨床経験、教育経験も加味して資格審査をしています。当歯科矯正学教室は、この日本矯正歯科学会の認める「矯正歯科基本研修 および「矯正歯科臨床研修 を行うための指定機関になっています。従って、本教室においては、最初に申請することになる「認定医」を取得するために必要な、学会の定めるカリキュラムに準じた2年間の「矯正歯科基本研修 と3年間の「矯正歯科臨床研修 を行っています。大学院生に対しても下記の2つのカリキュラムに準じて、講義、基礎実習、診断、治療、等、充実した臨床教育を行っており、全ての大学院生が履修することを原則としています。

矯正歯科基本研修

2年間で歯科矯正学の知識と技術を講義、実習により研鑚し、また他専門分野とも連携して包括的歯科治療についても勉強します。ゼミ形式による症例検討会で検討しながら、指導医とともに自己症例の矯正治療を進めます。基本研修修了時には修了検定を行い、修了書を授与します。

矯正歯科臨床医研修

基本研修修了後、指導医のもとで3年間矯正歯科臨床を研鑽し、日本矯正歯科学会の到達目標を達成するためのカリキュラムです。外来の診療や症例検討会で多くの症例について学びます。自己症例については指導医と相談しながら、またゼミ形式による症例検討会で検討しながら治療を進めます。臨床研修修了時には修了検定を行い、修了書を授与します。