口腔内科コラム|口腔カンジダ症③ ― 入れ歯管理と誤嚥性肺炎予防

口腔カンジダ症③

入れ歯は口腔の常在菌であるカンジダと相性が良く、とくに入れ歯の内面(粘膜と接する面)にはカンジダ菌が付着しやすいことを前回ご説明しました。入れ歯の取り扱いが適切でない場合、入れ歯は容易にカンジダの温床となり、やがて口腔内全体へと増殖が広がり、粘膜炎症を引き起こします。

さらに、後期高齢者で嚥下機能が低下している場合には注意が必要です。就寝時に入れ歯を装着したままでいると、カンジダ真菌を含む多数の口腔内細菌が唾液とともに気道へ流入し、誤嚥性肺炎を発症するリスクが高まります。

したがって、入れ歯は歯肉を休ませる目的だけでなく、誤嚥性肺炎予防の観点からも、原則として就寝時には外すことが推奨されます。ただし、咬合の安定や顎関節の状態などにより、就寝時にも装着が必要な場合がありますので、その際は必ず担当医と相談してください。

入れ歯の適切な管理として理想的なのは、毎食後に入れ歯を洗浄すること、そして就寝前には洗浄後、入れ歯洗浄液に一晩浸漬することです。翌朝は洗浄液を十分に流水で洗い流してから装着します。

食後の洗浄は、水道水の流水下で入れ歯専用ブラシを用いて行いますが、入れ歯の内面は絶対に強く擦らないようにしてください。たわしで擦るような強い清掃は、義歯内面に細かな傷を生じさせます。傷ついた表面はカンジダ菌が付着しやすくなり、結果的に感染リスクを高めてしまいます。

入れ歯は適切に管理すれば、安全に長く使用することができます。日常的な丁寧な取り扱いが、口腔カンジダ症および誤嚥性肺炎の予防につながります。