精密な下顎骨再建の再建方法

形成外科、生体技工部、補綴科、口腔外科(口腔内科) 連携による

精密な下顎骨再建の再建方法について、cureusからpublishされました。

Composite Design of In-House Manufactured Patient-Specific Instruments for Precision Mandibular Reconstruction Using Fibula Free Flap

和文要約:

精密再建を目指した下顎骨の腓骨再建症例における新しいPSIの複合設計

【緒言】

当院では,上下顎骨などの再建手術に際し,コンピューター支援手術(CAS:Computer assisted surgery)による術前シミュレーションを実施している.シミュレーション後,患者専用のサージカルガイド(PSI:Patient Specific Instruments)をCADソフトウェアで設計し,3Dプリンターを用いて製作している.CASを活用して形成外科医や口腔外科医が再建について綿密に議論し,PSIの設計に反映させることで担当医の要望に沿ったPSIを製作することが可能である.今回は顎位を保持する硬性再建を目的とし,CASを用いて製作したPSIの症例について,その概要を報告する.

【症例】

患者は78歳男性,2024年7月に左下顎歯肉癌(cT4aN2bM0,SCC)と診断された.術前にCT撮影を行い,3Dプランニングソフトウェアを用いて遊離腓骨再建のシミュレーションを行った.その後,CADソフトウェアにてPSIを設計した.下顎骨および腓骨の切断を行うためのカッティングガイドに加え,切断後の顎位が変位しないように両端の下顎骨を固定するリポジショニングガイドを設計した.さらに腓骨組み立て用ガイドを設計し,下顎骨のリポジショニングガイドに組み合わさる機構を付与した.これらのPSIを用いて,同年8月に気管切開,左頸部郭清,下顎骨区域切除,左遊離腓骨皮弁再建術を施行した.

【結果・考察】

複数のPISを用いることで,短時間でスムーズな再建が可能となった.しかし,術前シミュレーションと術後の3次元データを比較した結果,形態に差が認められた.今後はこのような差異が出てしまうことを考慮し,さらに調整を図る必要があると考えられた.