研究概要

腫瘍血管内皮細胞の異常性の発見から新しい血管新生阻害療法の開発へ

近年の研究により,がんの血管には形態・組織学的な構造の異常があることがわかってきました.しかしがんの血管を構成する腫瘍血管内皮細胞 (Tumor endothelial cell: TEC) が正常血管の内皮細胞と異なるという報告もなく,その生物像は未知のままでした.私たちは世界に先駆けて「がんの血管を構成する血管内皮細胞」:腫瘍血管内皮細胞 (Tumor endothelial cell: TEC) の分離培養をおこない,研究を進めてきました.正常血管内皮細胞 (Normal endothelial cell: NEC) と異なる腫瘍血管内皮細胞の特性や標的分子を同定することができれば,正常血管を傷害することなくがんの血管のみを攻撃する新しい血管新生阻害剤を開発することができると考えています.

私たちはこれまで,腫瘍血管内皮細胞の異常性について研究を行い,多くの知見を得ています. 現在,具体的には下記のプロジェクトを中心に研究を進めています.

  1. 腫瘍血管内皮の特性解明から特異的な阻害剤の開発
  2. 腫瘍血管内皮の多様性
  3. 腫瘍血管内皮ががん微小環境内で異常性を獲得するメカニズム
  4. がん幹細胞,がんの浸潤転移における腫瘍血管内皮細胞の機能