北海道大学大学院歯学研究院口腔病態学講座歯科麻酔学教室北海道大学大学院歯学研究院口腔病態学講座歯科麻酔学教室

教授ご挨拶

当教室のホームページをご覧いただきありがとうございます.

 20231月1日付で北海道大学大学院歯学研究院歯科麻酔学教室を担当させていただくことになりました城戸幹太と申します.
 北海道大学歯科麻酔学教室は,初代福島和昭教授,第二代藤澤俊明教授と受け継がれ,私が第三代教授となります.これまで日本の歯科麻酔を牽引し,また北海道の地域医療に多大な貢献をしてきた歴史と伝統のある歯科麻酔学教室をさらに発展させるべく,教室員一丸となって尽力してまいります.

 歯科麻酔学は歯科における全身管理学・侵襲制御学とも言われます.私たちは,口腔外科手術や障がい者・小児の歯科治療のために全身麻酔や静脈内鎮静など専門性の高い全身管理技術を駆使し,患者様が不安なく安全に歯科診療を受けられるようサポートしてまいります.また,日本は未曾有の高齢化社会を迎え,様々な基礎疾患を抱えた患者様が増加しています.一方で,8020運動の達成率はすでに50%を越え,以前のような義歯を中心とする歯科治療から高齢でも外科的侵襲を伴う治療や手術を日常的に受ける時代となっています.歯や口だけでなく,歯科診療のストレスが全身に与える影響を常に考慮し,円滑で安全な診療が提供できるよう努めてまいります.北海道大学歯科麻酔学教室は,常に先進の歯科麻酔・全身管理学を取り入れながら研鑽を続け,全ての患者様の健康と幸せに貢献していきたいと考えています.

 北海道大学の理念の一つにフロンティア精神があります.大学人としてその時代の課題に対して敢然として新しい道を切り拓いていくというこの精神は,特に研究面において大いに発揮されるべきものです.歯科麻酔学教室では,超高齢社会を見据えた様々な研究課題に取り組んでまいります.私のライフワークである術後の痛みに関する研究や,術後に生じるせん妄の予防に関する研究は,テーマの中でも特に注力すべき喫緊の課題として積極的に取り組んで行きたいと考えています.世はまさにVUCAの時代,北海道の地から全国へ,そして世界へと新しい道を切り拓き,明るい未来へ繋がるような研究を推進してまいります.

 北海道大学歯科麻酔学教室では,若手歯科麻酔科医の育成を積極的に行ってまいります.前述のように歯や口を見るだけの歯科医師はもはや時代に追従できません.これからの歯科医師にとって,あらゆる歯科診療の場面でバイタルサインを理解し患者の全身状態を把握することは必須であり基本となります.歯科麻酔専門医のみならず,歯科麻酔をサブスペシャリティとして多方面で活躍する未来型歯科麻酔科医を育成してまいります.

北海道大学大学院歯学研究院口腔病態学分野歯科麻酔学教室 城戸幹太