難治性顎骨骨髄炎に対する高気圧酸素治療に関する研究論文が掲載されました

当科における難治性顎骨骨髄炎に対する高気圧酸素治療(HBOT)と保存的手術に関する研究論文が、国際学術誌「Journal of Dental Sciences」に掲載されました。

本研究では、薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)、放射線性顎骨壊死(ORN)、歯性感染関連骨髄炎(ODONT)といった難治性の顎骨骨髄炎に対し、高気圧酸素治療(HBOT)と低侵襲な外科処置を組み合わせた治療を行い、その治療効果や術後の病勢を核医学画像によって定量的に評価しました。

論文情報

Role of three-phase bone scintigraphy and fluorodeoxyglucose positron emission tomography in monitoring hyperbaric oxygen therapy combined with conservative surgery for refractory osteomyelitis

Journal of Dental Sciences, 2026, 21(3), 1608–1617

論文はこちら
https://jds.ads.org.tw/journal/vol21/iss3/28/

研究の背景と目的

顎骨骨髄炎に対する高気圧酸素治療(HBOT)の抗炎症効果については、これまで十分に定量化されていませんでした。

本研究では、低侵襲手術とHBOTを併用した顎骨骨髄炎患者を対象として、三相骨シンチグラフィおよびFDG-PETを用い、HBOTによる治療効果と術後の病勢を定量的に評価することを目的としました。

対象と方法

2008年から2015年に当科で、腐骨除去術(sequestrectomy)または掻爬術(saucerization)と術前HBOTを受けた11例を対象としました。

原因別に、

・歯性感染関連骨髄炎(ODONT群):4例
・放射線性顎骨壊死(ORN群):4例
・薬剤関連顎骨壊死(MRONJ群):3例

の3群に分類しました。

FDG-PETのSUVmaxと、三相骨シンチグラフィにおける関心領域(ROI)の測定値をHBOT前後で比較し、それぞれの変化量を評価しました。

また、臨床的治癒については、術後3か月時点で症状の再発が認められないことを基準としました。

研究結果

術後3か月時点での全体の治癒率は、90.9%(11例中10例)でした。

画像評価では、FDG-PETではODONT群、骨シンチグラフィではORN群で治療前後の変化量が最も大きくなりました。

また、ORN群におけるFDG-PET、MRONJ群における骨シンチグラフィでは、治療後の測定値のばらつきが治療前より大きくなる傾向が認められました。

本研究について

本研究から、三相骨シンチグラフィやFDG-PETなどの核医学画像は、難治性顎骨骨髄炎に対するHBOTの治療効果を定量的に評価する方法として有用であり、治療効果判定の向上に寄与する可能性が示されました。

当科では今後も、難治性顎骨骨髄炎をはじめとする口腔外科・口腔内科領域の疾患について、臨床と研究の両面から新たな知見の蓄積に取り組んでまいります。