北海道大学 大学院歯学研究院 口腔健康科学分野  高齢者歯科学教室

Gerodontology, Department of Oral Health Science, Faculty of Dental Medicine, Hokkaido University

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教授ご挨拶





北海道大学 大学院歯学研究院
口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室

教授 山崎 裕

 日本は2007年から超高齢社会に突入し、10年後には歯科外来を受診する患者の2人に1人は高齢者になろうとしています。そうなると歯科医師なら誰しもが高齢者の歯科治療を避けては通れなくなります。平均寿命は戦後40年で急速に延び、半世紀前は還暦を過ぎれば立派なお年寄りの仲間入りでしたが、今や現役真只中です。平均寿命が延びると当然、慢性疾患の罹患率も増加し、高齢有病者が多数の常用薬を服用するようになります。従ってこれらの高齢者に安心・安全に歯科治療を提供するためには、関連する様々な知識と技術、経験が必要になります。また、医科と違い、病院に歯科がほとんどない我が国の現状では、今後、歯科に通院できなくなる人達が急増しますので在宅・施設への訪問歯科診療が歯科医にとって必須になります。

 歯科界にとって、このような状況に対応できるような究極のGPが求められています。そのためには、有病者の全身管理をしながら、義歯をはじめとした補綴処置、抜歯や簡単な小手術、口腔粘膜疾患、高齢者の歯科心身症、口腔ケア、摂食・嚥下リハビリテーションなどあらゆる分野の素養を有し、他職種と連携できるような人材の育成が必要です。当教室では、研修医や医局員に口腔外科の病棟や外来の小手術、口腔内科、麻酔科などを研修するシステムを整備し、また、さまざまな場所での口腔ケアや摂食・嚥下リハビリを通じて他科や関連する他職種とのコミニュケーション能力を身につけてもらっています。研究面では、従来より高齢者の口腔の健康と全身の健康に関する研究、口腔機能向上に関する研究、口腔機能の改善を目指した生体材料・再生医療の開発、他職種と連携した口腔管理チームアプローチシステムに関する研究を行ってきました。今後はこれらに加え、高齢者の口腔粘膜疾患や歯科心身症に対しても積極的に取り組んでいきたいと考えています。