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教授あいさつ

北海道大学大学院歯学研究科 歯科矯正学教室 教授 飯田順一郎
北海道大学大学院歯学研究科
歯科矯正学教室
教授 飯田順一郎

 歯科医学は、疾病・障害などによって損なわれた顎口腔系機能を回復することによって、社会生活の質(QOL:quality of life)を向上させる事を大きな目的としています。顎・口腔は頭部に位置しており、摂食・咀嚼・嚥下、呼吸、発音など、生きていくために必要な多様な機能を営むだけでなく、笑顔を作り出すなど、社会生活の質を保つ上で必要な顔貌の形態的調和も求められる非常に重要な器官であるといえます。歯科矯正学に裏付けされた矯正歯科治療は、損なわれた歯の噛み合わせや歯並びを、自分の歯を移動させる事によって、また顎の成長を制御する事などによって、このような重要な機能を回復させるとともに、形態的調和を獲得するための治療です。

 歯科矯正学教室においては、臨床系の教室として、このような歯科矯正学、矯正歯科治療の発展のために、以下のようなテーマのもとに多くの研究を展開しています。

(1)機械的刺激による組織改造現象の機構解明

(2)矯正用歯科材料の開発

(3)顎口腔機能に関する研究

(4)顎変症に関する研究

(5)口唇口蓋裂に関する研究

 また同時に、矯正歯科治療の専門的治療技術を習得しようとする若手歯科医師のために、矯正治療の臨床的な研修も行っています。すなわち、当教室は歯科矯正学で日本を代表する学会である日本矯正歯科学会が認定する研修機関であり、学会が認定する認定医取得のために必要な2年(基本研修)から5年(臨床研修)以上の研修を、充実した形ですべての大学院生が受講する事になっています。また当教室員は、北海道大学病院の矯正歯科において日々治療に携わっています。八重歯などの一般的な不正咬合の治療はもちろんですが、北海道における顎変形症患者、口唇口蓋裂患者の大多数を治療する基幹病院としての重要な機能を営んでいます。加えてこれまでに多くの留学生を受け入れた結果、その学生が母国に帰って活躍しており、海外の大学との交流も頻繁に行われています。
 当教室は、次世代を担う人材を育てるために、最新の理論と基本技術の習得を通して、応用能力にあふれた国際競争力を持つ歯科医師の育成を目指しています。

教育内容

大学院教育 教育内容

歯科矯正治療における診査・診断・治療法の開発に関して、臨床的・基礎的に広く研究を行っている。

機械的刺激による組織改造現象の機構解明に関する研究:

 矯正力の他、口腔周囲筋・軟組織などが発生する機械的刺激がもたらす組織改造現象の機構、およびその加齢変化に関しての研究を行っている。また、培養細胞に機械的刺激を与えることによる生化学的研究、微少血管の研究、さらには、糖尿病ラットを用いた組織学的な研究、など広範なテーマで、歯科薬理学教室、口腔機能解剖学教室、硬組織発生生物学教室などとも共同研究を展開している。

顎口腔機能に関する研究:

 舌、口唇、頬は、発音、咀嚼、嚥下などの顎口腔機能に重要な役割を果たしている。口唇閉鎖状態連続記録装置等を用いて、口唇閉鎖機能に着目した顎口腔機能の診断、治療、また筋機能療法(MFT)に関する基礎的、臨床的研究を行っている。また、顎関節症に代表される顎機能異常に関して、不正咬合、矯正治療との関連性に関する研究を進めている。

矯正用歯科材料の開発:

 繊維強化プラスチック型複合材料を用いた審美性にも優れた高性能の矯正用ワイヤーの開発の他、新しい概念の矯正用ブラケットや矯正用ワイヤー、接着材料の開発などを行っている。

顎変形症に関する研究:

 顎顔面骨格の成長発育異常に生じる顎変形症の原因(特に遺伝的原因)の解明と外科矯正の診断、治療法に関する基礎的ならびに臨床的研究を行っている。自然発症不正咬合マウスを用いて、不正咬合の発生機序に関する研究も展開している。

口蓋裂に関する研究:

 口蓋裂患者の治療法に関する臨床的研究、またラットを用いた口蓋瘢痕組織に関する基礎的研究などがある