本教室は、1969年に歯学部口腔細菌学講座(鈴木武教授)として設置された。鈴木武教授の退官後、1988年に長崎大学歯学部より渡邊継男先生が教授として赴任し、1991年に長崎大学歯学部より柴田健一郎先生が助手として赴任した。1996年に柴田健一郎先生が助教授に昇任、長谷部晃先生が助手として採用された。2001年に柴田健一郎先生が教授へと昇任した。大学院重点化に伴い大学院歯学研究科は大講座制となり、口腔細菌学講座は口腔病態学講座の口腔分子微生物学教室へと変更された。2020年に長谷部晃先生が教授に昇任し、2024年より教室名が微生物学教室に変更された。

 研究内容は、主にマイコプラズマや自然免疫系について行ってきており、近年はそれに加えて口腔微生物ががんやアルツハイマー型認知症など全身疾患に与える影響を調べている。具体的には、歯周病原細菌は、自然免疫系において一般的にインフラマソームを活性化するが、一部のものは抑制性を有する可能性があること、またそれに伴い、腫瘍においても様々な役割を果たしている可能性があることなどがわかってきており、これらをさらに詳細に研究しなければならないと考えている。また、歯周病原細菌は血管内に侵入することが多く、結果としてアルツハイマー型認知症においても増悪に関与している可能性があり、歯周病原菌が関与する病害メカニズムについても非常に興味深く、今度明らかにしていく必要があると思われる。

 教育については、学部生の微生物学・免疫学の講義と実習だけでなく、全学教育科目において口腔微生物についての講義や、大学院講義において微生物の取り扱いなど基本技術についてなどを実施している。

教授 長谷部 晃