5.口唇・口蓋裂の影響

(1)
空気が鼻から漏れてしまい、ミルクを吸う力が弱くなります。また、鼻からミルクが漏れてしまうこともあります。ミルクを飲むのに時間と労力がかかり、飲む量が少ないこともあり、その結果体重の伸びが悪いことがあります。

(2)最も大きな影響としては、言葉の発音に表れます。口唇裂だけの場合は問題は起きませんが、口蓋裂の場合は口蓋の割れ方は様々であっても「空気を口の中にためられない」ということが問題になります。空気を口の中にためる働きを鼻咽腔閉鎖機能といいますが、不十分であれば全部の音が鼻に抜けて「キャラメル」が「ニャニャヌニ」となったりします。あるいは、鼻に抜ける感じで、音が弱くなったり歪んだりする事があります。そして一番の問題は、日本語の発音そのものができずに日本語ではない異常な発音の仕方を学習してしまうことです。

(3)もうひとつは、上あごの成長や咬み合わせの障害がでてくることです。口蓋が割れているということで、将来歯になる部分がなくなっていたり、歯の位置がずれていたりすることがあります。早い時期に口蓋の手術が行われることで、上あごの成長が障害されます。将来上下の顎の大きさのバランスがくずれてきたり、咬み合わせが悪くて食べ物が十分に咬めなくなったりします。

(4)中耳炎を起こしやすいこともあげられます。鼓膜の内側に水の溜まる病気で口蓋裂のある子供の8割は滲出性中耳炎を起こしています。これは、口蓋裂のために耳管(耳と口を結ぶ管)の口側の部分にある口蓋帆挙筋の先天的な低形成や、筋力不足など種々の原因に由来しておこると考えられています。これを放置すると難聴になり、言葉の発育に悪影響を及ぼします。   音への反応が悪い、頻繁に耳に手をもっていく、急な発熱、痛がる、耳だれがある場合は耳鼻科で診てもらう必要があります。