3.口蓋形成術

 この手術は構音機能(正しく発音する働き)に重要な鼻咽腔閉鎖機能(空気を鼻に漏れないようにする咽頭部の働き)を改善するために行います。
手術時期は、言葉を覚え始める時期にあたる1歳6ヶ月〜2歳頃に行うのが一般的です。ホッツ床はこの時期まで使用します。
 早い時期の手術は顎の成長を障害するため、顎の成長だけを考えた場合には遅いほど良いのですが、正常な構音機能を獲得させるためにはこの時期に行わなければなりません。
 口蓋形成手術には、言葉の問題の解決を優先して1回の手術で口蓋の披裂を閉鎖する従来の方法(一期的口蓋形成手術法)と、言葉だけではなく将来の上顎の成長も考慮して意図的に2回に分ける新しい考えかたに基づく方法(二期的口蓋形成手術法)があります。
 2回に分ける方法は、初めに口蓋の後方部(軟口蓋)の手術を行ない、4歳以降に前方部(硬口蓋)の閉鎖手術をします。これは手術の侵襲を小さくすることにより、中顔面(上顎と鼻)の発育障害を最小限度にしようとする考え方に基づく方法です。傷をつけていない口蓋前方部は、初回手術の後も順調に成長して披裂幅も狭くなるため、2回目の手術は2〜3日入院するだけの簡単な閉鎖手術ですみます。

以下に一期的手術法と二期的手術法の模式図を示します。