北海道大学歯学部及び大学院歯学研究院の3つのポリシー

歯学部アドミッション・ポリシー

理念

北海道大学歯学部は,口腔の健康管理を通して心身の健康管理に寄与し,それぞれの人の生活の質を高めていくために学問としての歯学に取り組み,その成果を通じて人類の健康と福祉に貢献することを理念とする。

教育目標

歯科医療の高度化と専門化及び高齢化の進む社会において,国民の期待に応えることのできる歯科医師の育成を目指す。そのために歯学に必要な専門的な知識・技能及び態度,そしてそれらを用いて歯学に関わる問題の解決を図るために必要な思考力・判断力・表現力・主体性・多様性・協調性・プロフェッショナリズムの習得を目標とする。

基礎教育期,専門教育期,総合教育期の三期に分けて教育に取り組む。基礎教育期では,教養科目及び基礎科目を幅広く学ぶことにより,医療人としてのプロフェッショナリズム・倫理観の獲得や人間性の向上を目指す。専門教育期では,歯学や歯科医療に関する専門的な知識と技術を習得する。最後の総合教育期では,臨床実習を通じて習得した知識・技術,及び態度を実践し,現実に役に立つ知識・技術,態度を獲得することを目指すとともに,一般医学全般についても学ぶことにより,より広い視点から歯学や歯科医学を捉えなおすことを目指す。なお,これら三期は独立したものではなく,おのおのマイルストーンを設けてスパイラルに醸成されることを目指す。

獲得した知識・技能・態度,思考力・判断力・表現力・プロフェッショナリズム等により,高度化と専門化及び高齢化のすすむ歯科医療を様々な分野の人々と協調性を持って主体的に実践できること,もしくは実践するための手段を主体的に構築し獲得できること,加えて歯学に関わる様々な問題を研究や教育も視野に入れて多様性を持って解決するための手段を構築できるようになることを求める成果とする。

求める学生像

  1. 歯学部の基礎教育期,専門教育期,総合教育期で教育される広範な基礎知識及び専門知識を身につけるための,数学・理科・外国語を中心とした高等学校レベルの十分な知識・技能を身につけており,かつ同時に多数の教科を学ぶことのできる柔軟な学習能力を持った学生
  2. 身につけた知識・技能を用いて初歩的な歯学的問題を解決しそれを説明するために,十分な思考力・判断力・表現力を身につけている学生
  3. 歯科医学の発展に寄与したいと考えている学生。そのために多様な人々と協調して問題解決したいと考える学生。
  4. 歯科医療を通して人の生活の質を向上させることに主体的に奉仕したいと考えている学生
  5. 歯科医療に関する専門的な知識や技術を習得するだけでなく,医療人としての倫理観や高い人間性を主体的に,多様な人々と協調して獲得したいと考えている学生

入学者選抜の基本方針

  1. 一般選抜(前期日程)
    • 大学入学共通テストによって基礎的学力をみるとともに,個別学力検査では,数学・外国語・理科(物理・化学・生物から2科目)の出題と面接を実施し,学問的向上心,総合的判断力および将来の歯科医師としての適性を評価する。
  2. 総合型選抜(フロンティア入試 Type I)
    • 調査書,コンピテンシー評価により,目的意識,意欲,実行力,適性をみるとともに,課題論文で読解力,論理的思考力を,また面接で積極性,表現力,論理性,協調性,適性を評価し,あわせて大学入学共通テストにより基礎学力を問うことで,学問的向上心,総合的判断力および将来の歯科医師としての適性を評価する。
  3. 帰国子女入試
    • 資格・成績証明書等,推薦書,自己推薦書,諸活動の記録により,目的意識,意欲,実行力,適性をみるとともに,課題論文で読解力,論理的思考力を,また面接で意欲,表現力,論理性,協調性及び理科(物理・化学・生物から2科目)の理解度を問うことで,学問的向上心,総合的判断力および将来の歯科医師としての適性を評価する。
  4. 私費外国人留学生(学部)入試
    • 日本語留学試験及び英語能力検定試験の成績により基礎学力を評価し,小論文及び面接で日本語学力,大学教育を受けるために必要な基礎学力,論理的思考力等を問うことで,学問的向上心,総合的判断力および将来の歯科医師としての適性を評価する。
入試区分 知識・技能 思考力・判断力・表現力等の能力 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
一般選抜
(前期日程)
大学入学共通テスト 個別学力検査
数学・外国語・理科(物理・化学・生物から2科目)
面接・調査書
総合型選抜

(Type I)

大学入学共通テスト 課題論文・
コンピテンシー評価
面接
帰国子女

 

成績証明書等・面接 課題論文

 

面接・諸活動の記録等
私費外国人
留学生
成績表明書等・
日本語留学試験
小論文 面接

注)◎は特に重視する要素,○は重視する要素,☆は総合的な判断となる要素

歯学部カリキュラム・ポリシー

歯学部は,学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)で掲げる人材を育成するため,次の取組により教育課程を編成・実施します。

教養教育・基礎教育

一年次学生は総合教育部において,北海道大学のカリキュラム・ポリシーに沿った人材育成が行われます。

専門教育

歯科医師,歯学教育者及び研究者の育成にあたり,歯学教育モデルコアカリキュラムを網羅する基礎的教育を充分に行うとともに,歯科基礎医学および歯科臨床医学の各専門分野における発展的教育を積極的に行い,知識,技能,態度をバランス良く修得できるよう体系的に配置した専門科目をもって教育課程を編成・実施します。これにより,歯科医学における高度な学問的素養及び自律的に知的活動を展開させる能力の育成をはかります。また,歯学に必要な英語を修得する授業を配置し,留学機会を得る科目を設定して,国際的に活躍できる人材を育成します。

教育の質保証

各専門科目では,下記に述べる学習成果の評価の方針に従い,厳正な成績評価を行うとともに,客観試験である共用試験に合格することを卒業認定に採用しています。歯学部教員の教育資質を高める教員研修,学修や進路相談等の学生支援,教育制度の評価により制度改革を持続的に進める教学評価を実施しています。

学習成果の評価の方針

I 成績評価の基準

  1. 成績評価にあたっては,歯学部の学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)に掲げる学位授与水準を踏まえ,授業科目ごとに「到達目標」を設定し,到達目標の達成度に応じて,履修者の「学修成果の質」を評価する。必修科目は原則として「A+」,「A」,「A-」,「B+」,「B」,「B-」,「C+」,「C」,「D」,「D-」,「F」の11段階評価とし,「C」以上を合格とする。選択科目は各科目においてより少ない段階評価(例:6段階等)を行ってもよい。が,その際は学生が誤解することのないよう明記する。
  2. 全ての科目において,試験,レポート等を行い絶対評価を基本とする。必要な知識を備えているかの具体的な「到達目標」を定め,達成度に応じて評価することとし,成績分布の目安は示さない。特に相対評価が必要な科目については,当該科目において決まった成績分布の比率を示して評価する。
    例)「○○学」の成績分布は,「A+」及び「A」=○~○%,「A-」及び「B+」=○~○%,「B」及び「B-」=○~○%,「C+」及び「C」=○~○%を目安として成績評価する。
  3. 授業を実習のみにより行う科目においては,「合・否」により成績評価を行うことができることとする。
  4. 授業科目ごとに適切な「到達目標」が設定されており,当該「到達目標」に基づく成績評価の結果を学期ごとに教務委員会において検証し,結果を教授会に報告するとともに,必要に応じて担当教員に「到達目標」の再検討を依頼する。

II 成績評価の方法

  1. 成績評価は,試験結果,レポート評価,成果発表(プレゼンテーション),学修態度に関する客観的評価資料に基づいて行う。
  2. 成績の評価の対象は,原則として当該科目の総授業回数の四分の三以上の出席を満たす者とする。
  3. 出席状況を単に点数化し評価に用いることはできない。
  4. 上記以外の評価方法の詳細は,授業担当教員が定める。

歯学部ディプロマ・ポリシー

歯学部の教育理念は, 北海道大学の基本理念である,「フロンティア精神」,「国際性の涵養」,「全人教育」及び「実学の重視」を根本とし,『口腔の健康管理を通じて全身の健康の保持増進を図るため, 歯学及び歯科医療に関する専門的な知識及び技術を教授することにより, 医療従事者としての職業倫理, 豊かな人間性及び課題探究心を備えた歯科医師, 歯学教育者及び研究者を育成することを目的とする』(歯学部規定第1条の2)としています。歯学部は, 以下の能力を有すると認められる者に対し, 学士の学位を授与します。

  1. 医療人としてのプロフェッショナリズムを獲得し, 患者中心の歯科医療を支える豊かな人間性と倫理観を身につけている。
  2. 歯学及び歯科医療に関する専門的な知識と技能を有し, また, 関連医学と最先端歯科医療に関する十分な知識を身につけている。
  3. 歯科医学研究の重要性を理解し, 科学的妥当性・問題対応能力・課題探究心・創造性を身につけている。
  4. 多様なニーズのある地域社会や国際社会に貢献する使命感と責任感を身につけている。
  5. 患者や様々な医療従事者との適切なコミュニケーション能力を有し, チーム医療での高い協調性と歯科医師としての役割を理解・実践できる能力を身につけている。
  6. 患者及び医療従事者にとって, 良質で安全な医療を提供できる能力を身につけている。
  7. 高度化する歯科医学・歯科医療を生涯にわたり主体的に自己学修し, 常に省察し高い次元を求める能力を身につけている。

歯学院アドミッション・ポリシー

大学院の理念・教育目標

北海道大学大学院歯学院は歯学及び口腔保健医療の発展のため,最新の歯学の学問分野及び研究領域に対応し,かつ歯学に関する教育研究の進歩を担いうる研究者及び教育者の養成並びに専門分野における高度な知識及び歯科医療技術を有する高度専門職業人の育成を行っている。

求める学生像

  1. 基盤系口腔医学コース
    • 学内外を問わず,また歯科医師免許の有無にかかわらず,歯学・生命科学の領域で研究・教育を展開する意欲の高い学生
  2. 先端臨床系口腔医学コース
    • 専門分野における高度な知識と歯科医療技術を身に付けると同時に研究マインドも育て,高度化・専門化する歯科医療に対する社会の要求に応える意欲の高い学生

両コースともに本学院入学前に,歯学部卒業レベルの歯学や歯科医療に関する専門的な知識と技術を身につけておくことが期待される。

入学者選抜の基本方針

博士課程(一般入試・社会人入試・外国人留学生入試)
博士課程入学試験では,英語の筆記試験と,専門に関する口頭試問と研究能力及び研究課題に取り組む意欲を評価する面接により入学者を選抜する。特に英語の筆記試験と,専門に関する口頭試問を重視して選抜することとする。

歯学院カリキュラム・ポリシー

大学院歯学院では,学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)で掲げる人材を育成するため,歯学・口腔医学ならびに生命科学とその学際研究領域に関しての高度先端的研究を行い,新たな学術的基盤を構築する基盤系口腔医学コースに加えて,臨床系専門分野における高度な知識と歯科医療技術を教授するとともに,高い倫理観と研究マインドを醸成する先端臨床系口腔医学コース,さらに社会人特別選抜制度を実施しており,これらに柔軟に対応できるカリキュラムを設定しています。また,全ての研究において共通の基盤となる授業科目を開講するとともに,各専攻分野の専門的内容に関する研究手法,実験手技,データ解析法,論文執筆法を修得できるように教育課程を編成・実施します。さらに,英語による講義の実施,諸外国の研究者との共同研究ならびに留学制度の充実を推進し,国際的,学際的な研究および歯科医療活動に従事できる人材を育成します。

上記の学修成果は以下の方針に基づき,厳正に評価します。

Ⅰ 成績評価の基準

  1. 成績評価にあたっては,本学院の学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)に掲げる学位授与水準を踏まえ,授業科目ごとに「到達目標」を設定し,履修者の学修成果の達成度に応じて行うこととする。
  2. 本専攻における授業科目では成績分布の目安は示さない。
  3. 成績評価については,「秀」「優」「良」「可」及び「不可」の5種とし,「秀」「優」「良」「可」を合格とする。なお,授業を実習で行う科目においては,「合・否」で成績評価を行うことができることとする。
  4. 授業科目ごとに適切な「到達目標」が設定されていることと,それに基づく成績評価の結果を,学期ごとに教務委員会で検証し,結果を教授会に報告するとともに,必要に応じて担当教員に「到達目標」の再検討を依頼する。

Ⅱ 成績評価の方法

  1. 成績評価は,試験結果,レポート評価,成果発表(プレゼンテーション),学修態度等により行う。
  2. 授業への出欠状況を単に点数化し評価に用いることはできない。
  3. 具体的な評価方法は,授業担当教員が定める。

歯学院ディプロマ・ポリシー

歯学院では,本学の4つの基本理念(フロンティア精神,国際性の涵養,全人教育,実学の重視)のもと,歯学及び口腔保健医療の発展のため,最新の歯学の学問分野及び専門領域に対応し,かつ,歯学に関する教育研究の進歩を担いうる研究者及び教育者の育成,並びに専門分野における高度な知識及び歯科医療技術を有する高度専門職業人の育成を図ることを目標としています。歯学院では,所定の単位を修得し,かつ,必要な研究指導を受けた上で,本学院が行う学位審査に合格した以下の授与基準を満たす者に対して,博士の学位を授与します。

  1. 研究計画の作成,実験の遂行,得られたデータの解析能力及びそれに基づく 論理的思考を行う能力を有している。
  2. 歯学及び関連領域の発展に貢献しうる論文を執筆し,学術雑誌への掲載まで成し遂げる能力を有している。
  3. 歯科医療に携わっていく者においては,専門分野における高度な知識及び歯科医療技術を有する高度専門職業人として,先駆的医療の発展に貢献しうる能力を有している。
  4. 歯学・口腔医学,生命科学及び関連領域における専門的知識と技能を,倫理観と責任感をもって生涯継続して研鑽・省察する意欲を有している。